

購買部門の担当業務に関する課題

はじめに
当社ではこれまで、150社以上のさまざまな業界のお客様から、購買業務に関する課題や、情報システムに対する期待・ご要望など、幅広いお話を伺ってきました。
本コラムでは、その中でも購買業務を担当されている方々に焦点を当て、課題やニーズを整理・総括し、購買処理を支える情報システムとその運用のあるべき姿をシリーズ連載にしてご紹介していきます。
購買部門の声に応える、システム化に必要な視点とは?
皆様の購買業務の改善に向けたヒントとして、本コラムがお役に立てば幸いです。
1. 購買で取り扱う書類とその位置づけ
購買で取引先とやり取りする書類は次の通りです。
要求側(発注側)
- ・見積依頼書、仕様書
- ・発注書、契約書
- ・検収書
- ・支払通知書
供給側(受注側)
- ・見積書
- ・発注請書
- ・納品書
- ・請求書
これらは口頭や電話では残せない重要な情報を記録するものであり、「お願いします」「確かに請け賜わりました」「届けました」「受け取りました」「請求します」「支払います」といった事実を、プロセスに沿って証跡として残しています。
そのため、これらの書類は単なる記録ではなく、事業業績の内訳を示す根拠であり、不正のない取引を証明する資料です。監査対応においても必須かつ重要な位置づけを持ちます。
2. 書類のやりとりと保管方法
従来は帳票形式によるやりとりが主流でしたが、近年はデジタル化が進んでいます。
- ・紙から電子帳簿へ移行
- ・改ざん防止のためのPDF化・暗号化
- ・メールによる送受信が一般化
- ・さらに効率化を目指し、受発注システム間での直接暗号化伝送が望まれる傾向
このように、システム内で確実に識別・保管される仕組みが重要になっています。
3. システムでの電子帳簿保存
電子帳簿保存法では、取引をデータとして定義し、検索可能な状態で保存することが求められます。
かつては書庫で「時系列」や「取引先別」といったルールで保管していましたが、現在は取引情報自体に電子帳簿を紐づけて保存することが必須です。購買システムでも、取引確定ごとに帳簿が紐づき保存されることが前提条件となります。
4. 事業運営の視点からの帳簿管理
購買実績情報は、最適な取引先・価格・納期を探求するうえで不可欠です。
しかし「帳簿を開いて一件ずつ照合する」方法では非効率です。
効率的に活用するためには、
- ・セグメントデータ
- ・インデックス付き実績データ
といった形で保存し、要求検索から即座に回答を得られることが望まれます。
その意味で、見積・発注・請求といったすべてのデータアイテムをデジタル化することが最適解といえます。
5. 情報を広く事業体内で共有すること
購買システムを検討される事業社からは、「部門間で情報を非公開にしたい」という要望を伺うことがあります。しかし、事業全体としてコスト削減・品質確保・適正納期を追求するのであれば、実績データは検索・共有可能な状態に置くべきです。
私たちは、情報をオープンに共有し、有効活用できることこそが業務デジタル化の本来の目的であると考え、提唱しています。