

取引先との関係や取組

1. 取引先選定における購買内容の分類
購買部門を通すかどうかに関わらず、企業が調達する品目は非常に多様です。購買対象によって、業務の取り組み方も大きく異なります。ここでは、購買対象を以下の2つに大別し、それぞれの特性を整理します。
- Ⅰ.高額少品種品
- Ⅱ.低額(定額)多品種品
そして、それぞれの特性を大まかに示すと以下になります。
購買対象の分類
Ⅰ. 高額・少品種品
- • 主な対象:製造納入品、特殊な役務やサービスなど
- • 仕様・特性:要求仕様が厳格で詳細
- • 事業との関連:直接材、もしくは事業の品質に深く関わる
- • 納期:比較的長く、納期交渉が必要なことも
- • 金額の扱い:積算根拠や内訳提示が重要
Ⅱ. 低額(定額)・多品種品
- • 主な対象:一般商品、量販品、定型業務、標準化されたサービスなど
- • 仕様・特性:既に定格化・定義されている
- • 事業との関連:間接材、事業共通品、間接部門で使用されるもの
- • 納期:比較的短く、事前にスケジュールがほぼ決まっている
- • 金額の扱い:単価ベースで提示され、ボリュームディスカウントなども反映
2. 購買対象に応じた業務上の重点と対応
上記の特性を踏まえ、購買部門が何を重視して購買業務を進めるべきかを整理します。
特に、品質・納期・価格の3点の優先順位が重要であり、業務上のリソース配分にも影響します。
高額・少品種品
- • 重視する順序:①品質 → ②価格 → ③納期
- • 業務上の対応:納品ごとの検品や品質チェックに注力
低額(定額)・多品種品
- • 重視する順序:①価格(単価) → ②納期 → ③品質(標準レベルを確保)
- • 業務上の対応:迅速な処理を重視し、金額・納期の管理に注力
やや極端な分類に見えるかもしれませんが、実務ではこのような整理をもとに取り扱い品目を見極め、業務効率の向上と事業貢献につなげることが基本姿勢となります。
3. 取引先に対する期待とチェックポイント
購買品を提供する取引先に対しては、次のような期待があります。
高額品の取引先に期待すること
- • 納入品やサービスに関する品質の確保
- • 要求仕様への確実な対応
低額品の取引先に期待すること
- • 単価の安定性
- • 納期の正確さとスピード感
発注時の条件(契約)と、納品時の実際の状況との整合性確認が重要です。そして、納品時に発見された問題は、必ず記録に残すことが求められます。高額品においては品質が、低額品であっても数量や価格条件(例:ボリュームディスカウント)といった面での品質管理が欠かせません。
4. フィードバックと認識のすり合わせ
納品時のチェック結果に問題があった場合は、取引先に対して迅速かつ正確なフィードバックを行うことが重要です。これにより、取引先もリスクを把握し、価格や納期の見直しを行う可能性があります。
また、自社として「発注内容通りの品質を強く求める会社である」と明確に示すことも、購買活動上の大切な姿勢です。これは、良好な取引関係の構築だけでなく、購買部門が信頼できるパートナーと取引するために不可欠な行動です。
5. 検収結果の活用と取引先評価
取引先との間でモノやサービスを継続的に取引する上で、納品時のチェック結果は、将来の見積依頼や取引先選定の際に活かすべき貴重な情報です。以下の観点での情報活用が重要となります。
必要なアクション
- 1.品質チェックと問題点の早期フィードバック
- 2.暦年での品質評価をデータベース化
- 3.各取引先のリスク傾向を把握し、最適な購買先選定に活用
どの取引先にも得意・不得意はあります。各社の特性や過去の評価を踏まえて発注を最適化することが、購買活動の質と効率を高める鍵となります。