1.下請法が再注目される背景

公正取引委員会の取り組み

下請法ガイドラインの改正

近年、公正取引委員会は、下請法の運用基準(ガイドライン)を相次いで改正するなど、下請法の運用を活発化しています。

適正な価格転嫁の促進

下請事業者に対し、労務費、原材料費、エネルギーコスト等の上昇分を適切に価格転嫁せず、また協議することなく取引価格を据え置いたりすることは、下請法の違反行為である「買いたたき」に該当するおそれがあります。

違法、摘発の実態(公正取引委員会発表)

下請法違反行為に対する勧告・指導件数の推移

下請法違反行為に対する勧告・指導件数の推移

出典:公正取引委員会「令和5年度における下請法の運用状況及び中小事業者等の取引公正化に向けた取組」2024.06.05

実名公表

公正取引委員会は違反行為をしている場合、当該行為是正やその他必要な措置をとるべきことを勧告することができ(下請法第7条)、勧告した場合は、企業名・違反内容・勧告内容等を公表します

購買業務の課題は単なるコスト削減に留まらず、取引の適正運用の徹底が重要に!

2.下請法の目的と注意点

クローズアップされる禁止事項

不当な、返品や修正要求(受領の拒否)

不当な、遅延による支払い(支払サイトの引き延ばし)

不当な、価格の引き下げ(減額の強制) など

見積、発注、経過記録の重要性
下請法はその名(下請代金支払遅延等防止法)のとおり、発注書の三条書面の記載や上記の禁止事項3点が重要視されがちですが、「価格据え置きを含む買い叩き」や「発注後の価格変更交渉」も違反行為となることに注意が必要です。

3.システム活用の対策(ポイント)

下請法対策における、購買管理システムに求められることは?

正当な購買取引を行っていることを示す根拠情報を取引ごとに記録することで、
不正の抑止力をもった管理を可能にする

// 適正な価格取得・・・明確な要件伝達と見積取得 //

  • ●要件仕様の情報記録と伝達
  • ●発注に至るための見積取得、複数見積比較
  • ●発注に至る条件の事前合意

// 適正な条件発注・・・明言化した発注処理の履行 //

  • ●要件、納入・受領情報
  • ●納入、検収、支払日程
  • ●発注情報として取引先への伝達、控え保存

// 適正な支払設定・・・納品、検収での不当・トラブルの回避 //

  • ●納入受取の記録
  • ●検収と起きる不具合等に関する情報記録
  • ●納入→検収から適正な支払予定日
下請法は発注先事業者の保護が目的となるため、本質としては、発注元事業者の購買行為の正当化を要求するものになります。

4.トラミル:下請法に適正に準拠(発注処理)

発注処理(カバリング範囲)

〇:発注~検収で標準対応
△:支援情報まで保持または運用支援

分 類 対 応 備 考
1.発注者・下請事業者の名称
2.委託日
3.下請事業者の給付内容
4.下請事業者の給付受領期日
5.下請事業者の給付受領場所
6.給付内容の検査をする場合の、検査完了期日
7.下請代金額あるいはその算定方法 金額算定方法は別途添付
8.下請代金の支払期日
9. 手形を交付する場合の手形金額・満期 支払情報マスタに持たせる方法
10.一括決済方式で支払う場合の金融機関名や支払期日 支払情報によるが金融機関名や期日は対応外
11. 電子記録債権で支払う場合の電子記録債権の額や満期日 支払情報によるが金融機関名や期日は対応外
12.原材料などを有償支給する際の品目や数量、決済方法など 発注仕様書、個別発注等で別途連絡事項の取り扱い

組織や管理的承認ワークフローを標準装備

組織や管理的承認ワークフローを標準装備

5.トラミル:下請法に適正に準拠(納品受領~支払)

納品、検収から支払

// 発注後の納入量・期日・欠損等の状況変化への対応 //

  • ・発注後の納期回答、発注先コメントの受け取り
  • ・対策された発注情報を元にした納品、検収
  • ・取引条件が変わった場合の取引条件の変更の記録
  • ➡ 買い叩きではない状況、協議の結果を記録

支払日の違法性チェックと警告

// 違法ではない協議の記録と合法な支払日管理 //

  • ・支払予定日の下請法上のチェック
  • ・問題や不正にかかわる警告と経過の記録
  • ・発注仕入先に対して検収状況の共有
  • ➡ 発注後の変化・経過、合意状況を記録